在銘『若翁』七十七歳 小売業者 朱印『不知火人』『菊如』朱印 『光琳』秋の画 / 刈萱図 掛軸 茶掛け 茶道

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在銘『若翁』七十七歳 朱印『不知火人』『菊如』 朱印 『光琳』秋の画 / 刈萱図 掛軸 茶掛け 茶道

上部 / 長月庵若翁による後鳥羽上皇を踏まえた歌

堀若翁 ほり-じゃくおう
1734-1814* 江戸時代中期-後期の俳人。
若翁は肥前大村の藩士で、姓を堀氏名を徳輝通称孫左ヱ門、雅号を桃園・菊如・不知火人・白雲盧などと号し、経学に精通詩歌・俳諧の道に長じ、最後の住地の三重県伊賀市の愛染院故郷塚再興のときは年七十七だった。

「若翁」は1734年に大村藩8代藩主大村純保(すみもり)家臣の大村太左衛門(大村家の1族)の6男として生まれました。
親戚の堀家の養子となり堀孫左衛門徳之と名乗り(*史料大村家系図)、藩士時代には大村藩家臣の系図集『新撰士系録』の作成に従事していました。
藩士時代の住まいは、藩主の側で仕えた家来の小姓衆が住んだ通り「小姓小路」にありました。
*(現在大村高校の裏門に通じる"牢屋の坂"からJRの踏切を超えて続く通り) ところが1762年に突然脱藩(藩主大村純保死後)しています。
なぜ脱藩したかは、まったくわかっていません。
すでに、妻と2人の娘がいたにも関わらず、行方知れずとなりました。
しかし脱藩から13年後、信州柏原(長野県信濃町柏原で小林一茶の故郷)に現れて、「明専寺」で寺子屋を開き俳号を「若翁」と名乗り小林一茶との縁が生まれています。
その後江戸、大阪、松山、今治、尾道、伊賀上野と各地で俳句の指導をした若翁の名は全国に知れ渡り、俳人としての評価が高まっていきました。
又、松尾芭蕉の故郷である伊賀上野において芭蕉の碑や故郷塚の修復、芭蕉の顕彰活動を成し遂げました。

愛染院は三重県伊賀市にある真言宗豊山派の寺院である。
当寺は上野山平楽寺の子院東ノ坊と呼ばれたが、
文治建久年間(1190年頃)に醍醐寺の憲深僧正がこの地で後鳥羽天皇の病気平癒を祈願したので、
勅によって偏光山愛染院願成寺号を賜り、日向の法印鏡覚阿闍梨を開基とした。
天正9年(1581年)兵火で焼失し、寛文年間(1660年頃)に法印實恵が再興した。

長月庵若翁は江戸時代中期の俳人で、松尾芭蕉の顕彰に尽くしたことで知られている。
当寺は松尾芭蕉生家の菩提所でもある。
芭蕉は愛染院のすぐ西にある赤坂の街で誕生し、29歳までこの地で過ごした。
その後江戸に移り、元禄7年(1694年)10月12日西国周遊の途中、大阪市南御堂花屋で病没した。
遺骸は、遺言によって膳所の義仲寺に葬られたが、芭蕉の臨終に馳せ参じた伊賀の門人、服部土芳、貝増卓袋は遺髪を奉じて帰り、菩提所愛染院に埋め、故郷塚(こきょうづか)ととなえた。

江戸に出た小林一茶との交流もあり、一茶ゆかりの俳人の一人である。
若翁(小林一茶の師匠)は一茶の少年時代に柏原を訪れ、その後、全国を行脚し、再び柏原を訪れて本陣中村家に寄寓し、文化10年(1813)に中村家で没した。
墓碑は一茶顕彰が盛んになる中、明治時代に中村家によって建立された。

大村市三城町の富松神社には、長月庵若翁と、若翁と生涯交流があった小林一茶の句碑があります。

【翻】
後鳥羽上皇の仰せられし
ほそき一すしのミことはを
守りなから古翁の申され
けるよし
かるかやのすかたも
道のたよりかな
七十七老
若翁
【訳】
後鳥羽上皇のおっしゃられた「細き一筋御言葉」を守りながら古翁が申された由
刈萱の姿も道の便り哉

解釈:(丈が高い)刈萱の姿もまた、道の便りにするところであることよ
【註】 細き一筋の御言葉...松尾芭蕉の俳文である『柴門辞』に左のような文言があり、これを踏まえたものと思われる。

後鳥羽上皇の書かせ給ひしものにも、「これらは歌に實ありて、しかも悲しびを添ふる」と宣ひ侍りしとかや。さればこの御言葉を力とし て、其の細き 一筋をたどり失ふる事なかれ。猶、「古人の跡を求めず、古人の求めたる所を求めよ」と、南山大師の筆の道も見えたり。

これは芭蕉の門人である森川許六との別離の言葉とのこと。 古翁...高齢の翁。老翁。古老。

芭蕉の後鳥羽上皇からなる『細き 一筋をたどり失ふる事なかれ』を心に
道に生える刈萱は丈が高く、毎年決まった場所に芽を吹いて昔とちっともかわらず同じ場所に同じように生えているので道の便りとなる。
と歌ったのではと捉えています。

下部 / 朱印 『光琳』 秋の画/刈萱図
上貼長月庵若翁の歌中の刈萱/オガルカヤ の図。

光琳の落款による貴重な掛け物であります。
のびのびとした刈萱の曲線、迷いのない描写は見事だと思います!

寸法:(全体)高さ158cm 幅31.2cm ( 画寸)高さ81cm 幅26.8cm

再表装済みにて状態は良好です

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